「屋根の点検で棟板金の釘が浮いていると言われた」「台風のあと、屋根の頂点の板金がめくれている」。棟板金は普段まったく意識しない部位ですが、台風被害で最も多いのがこの棟板金の飛散です。
交換費用の目安は、足場が不要なら5万円から15万円、足場が必要な場合は20万円から40万円。工事そのものは半日から1日で終わる比較的簡単な作業ですが、足場の有無で総額が大きく変わります。
そして、交換の際に最も重要な判断があります。板金の下にある「貫板」を何の素材にするかです。従来の木製をそのまま使うか、腐らない樹脂製にするか。この選択が、次に飛ばされるかどうかを左右します。
この記事では、棟板金が飛ぶ仕組み、交換の時期、費用の内訳、貫板の選び方、そして火災保険が使える条件までまとめました。見積書を手元に置きながら読み進めてみてください。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| 棟板金の交換費用は? | 5万〜15万円(足場なし) | 足場が必要な場合は20万〜40万円。1mあたり5,000〜10,000円が単価の目安です。 |
| 交換の時期は? | 築15〜25年が目安 | ただし築7〜10年で釘の浮きが出始めます。年数より実際の状態で判断してください。 |
| なぜ釘が抜けるのか? | 金属の熱伸縮が原因 | 夏と冬の温度差で板金が伸び縮みし、そのたびに釘が少しずつ押し出されます。 |
| 交換時に確認することは? | 貫板を樹脂製にするか | 木製は湿気で腐り、釘が効かなくなります。樹脂製なら腐食せず再発を防げます。 |
この記事でわかること
- 棟板金がどこにある部位で、どういう役割を担っているか
- 釘が抜けて飛散するまでの仕組みと、風速との関係
- 交換費用の内訳と、部分補修で済むケースとの判断基準
- 木製の貫板と樹脂製の貫板の違いと、選び方
- 火災保険が使える条件と、申請の際に注意したい点
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もくじ
棟板金とは?位置と役割を確認する
まず、どこにある部位なのかを整理しておきましょう。棟板金は、屋根の面と面が合わさる頂点部分にかぶせられた金属のカバーです。
ここでは、構造と役割、そして似た用語との違いを説明します。
屋根の頂点をふさぐ金属のカバー
切妻屋根であれば、屋根の一番高いところに水平に走っている部分。寄棟屋根であれば、そこから斜めに下りていく稜線の部分にも取り付けられています。
構造は単純です。屋根材の合わせ目に「貫板(ぬきいた)」という下地材を置き、その上から金属板をかぶせ、横から釘やビスで固定します。
使われるのはガルバリウム鋼板やトタンなどの金属板。長さ2メートル程度の板金を、重ねながら連続して取り付けていきます。金属屋根材の特性は屋根のガルバリウムで後悔しないための7つのポイントにまとめています。
主にスレート屋根と金属屋根で使われる部位です。瓦屋根の場合は棟板金ではなく「棟瓦」が積まれており、施工方法も対処法もまったく違います。
屋根の合わせ目から雨水が入るのを防いでいる
役割は防水です。屋根の面と面が合わさる部分は、構造上どうしても隙間ができます。そこを覆って雨水の侵入を防いでいるのが棟板金です。
この部分がなければ、雨が降るたびに屋根の頂点から水が入り込みます。地味な部材に見えますが、屋根の防水を成立させるうえで欠かせない役割を担っています。
逆にいえば、棟板金が飛ばされると屋根の弱点がむき出しになるということです。雨漏りに直結する部位だと理解しておいてください。
換気の役割を持つ「換気棟」もある
近年の住宅では、棟の部分に換気機能を持たせた製品が使われることがあります。屋根裏にこもった湿気を外へ逃がす「換気棟」と呼ばれる部材です。
屋根裏の換気が不十分だと、内部結露が発生して野地板や垂木を傷めます。換気棟はこれを防ぐために設けられます。
棟板金の交換工事の際に、換気棟へ変更するという選択肢もあります。屋根裏の湿気が気になる場合は、相談してみる価値があります。
なぜ棟板金は飛ぶのか|釘が抜ける仕組み
台風被害で棟板金の飛散が最も多いのには、明確な理由があります。放置していたから飛んだ、というより、時間の経過とともに必ず緩んでいく構造になっているのです。
ここでは、その仕組みを段階を追って説明します。
金属の熱伸縮で釘が少しずつ押し出される
出発点はこれです。金属は温度が上がると膨張し、下がると収縮します。棟板金も例外ではありません。
夏の日中、屋根の表面温度は60度を超えることもあります。冬の朝は氷点下になる地域もあります。この温度差で板金が伸び縮みするたび、固定している釘がわずかに外へ引っ張られます。
板金が縮むときは釘も一緒に戻るわけではありません。この繰り返しが何年も続くことで、釘は少しずつ押し出されていきます。
これは施工不良ではなく、金属という素材の性質による現象です。だからこそ、どの住宅でも必ず起こります。
釘穴から水が入り、貫板が腐る
次の段階で、事態が加速します。釘が浮くと、その穴に隙間ができて雨水が入り込みます。
入った水は、板金の内側にある木製の貫板に染み込みます。板金に覆われているため乾きにくく、濡れた状態が続くことで腐朽が進みます。
木材が腐れば、釘はさらに効かなくなります。釘が緩む、水が入る、木が腐る、もっと緩む。この悪循環が、板金の内部で見えないまま進行します。
風速20m/s前後から屋根ふき材の被害が出始める
そして、強風が引き金になります。気象庁がまとめている風の強さの目安によると、平均風速15m/s以上20m/s未満で屋根瓦や屋根ふき材がはがれるものがあるとされています。
さらに平均風速20m/s以上30m/s未満になると、屋根瓦や屋根ふき材が飛散するものがあると記載されています。(出典:気象庁「風の強さと吹き方」)
注意したいのは、この数値が10分間の平均風速だという点です。実際の瞬間風速は平均の1.5倍程度になることが多く、大気の状態によっては3倍以上になることもあるとされています。
つまり、平均風速15m/s程度の日でも、瞬間的にはかなり強い風が屋根に当たっているということです。釘が緩んだ棟板金は、この瞬間風速でめくれ上がります。
屋根の頂点は最も風の力を受ける場所
もうひとつの要因が位置です。屋根の頂点や端部は、平らな面より局所的に強い力がかかります。
風が屋根に当たると、風上側では押し付ける力が、風下側や頂点付近では吸い上げる力が働きます。この吸い上げの力が、めくれ上がりの直接的な原因になります。
棟板金が最も飛ばされやすいのは、位置と構造の両方に理由があるということです。屋根の被害については屋根工事・雨漏り修理に関する記事一覧も参考になります。
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交換の時期と、地上から確認できるサイン
交換のタイミングをどう判断するかです。棟板金そのものの耐用年数は15年から25年ですが、その前に釘の浮きが出始めます。
ここでは築年数の目安と、自分で確認できるサインを説明します。
築15〜25年が交換の目安、築7〜10年で点検を
板金自体の耐用年数は15年から25年程度とされています。ただし、これは板金が錆びて穴が開くまでの年数であって、不具合が出るまでの年数ではありません。
実際には、築7年から10年を過ぎたあたりから釘の浮きが見られ始めます。この段階で気づけば、打ち直しとコーキング処理で対応でき、費用も大きくかかりません。
問題は、内部の貫板の状態が外からは分からないことです。板金に覆われているため、めくってみるまで腐っているかどうか判断できません。
このため、築20年前後を過ぎた住宅では、症状が出ていなくても交換を検討する判断もあります。
地上から見上げて確認できること
専用の道具は必要ありません。双眼鏡かスマートフォンのカメラで屋根の頂点を撮影し、拡大して見てください。
確認するのは、板金の端が浮いていないか、めくれ上がっていないか、継ぎ目に隙間ができていないか、表面にサビが出ていないか、板金が波打っていないかの5点です。
釘の頭が飛び出しているのが見えれば、はっきりとしたサインです。ただし、地上からこれが見えるということは、かなり浮いている状態といえます。
風の日に音がするのは要注意
目に見えないサインもあります。風の強い日に屋根から金属音がする、パタパタという音が聞こえるという場合は、板金が浮いて風であおられている可能性があります。
この段階では、まだ飛散していなくても固定力はかなり落ちています。次の強風で飛ばされてもおかしくない状態です。
庭や道路に金属片が落ちていた場合は、すでに一部が飛散している可能性があります。近隣の敷地に落ちていないかも確認してください。
室内側に出るサイン
棟板金の不具合が進むと、室内にも影響が出ます。2階の天井、特に部屋の中央付近にシミが出ている場合は、棟からの浸水を疑う余地があります。
屋根裏に点検口があれば、懐中電灯で照らして棟の真下あたりを確認してみてください。野地板が濡れている、変色している、カビが生えているといった所見があれば進行しています。
ただし、水は屋根裏を伝って移動するため、シミの真上に原因があるとは限りません。判断には専門家の点検が必要です。
棟板金の補修・交換にかかる費用
劣化の程度によって、対応と費用が変わります。軽微なら数万円、交換なら十数万円、足場が必要なら数十万円という段階です。
ここでは3つの方法と、費用を左右する足場の問題を説明します。
釘の打ち直し・ビス交換|1万〜5万円
最も軽い対処です。浮いた釘を打ち直し、釘穴をコーキングでふさぐ処置で、1万円から5万円程度になります。
ただし、釘を打ち直しても熱伸縮でまた抜けてきます。より確実なのは、釘からステンレスのビスへ交換する方法です。ねじ山があるぶん抜けにくく、錆びにくくなります。
ビスへの交換は、棟板金1メートルあたり500円から800円程度の追加で対応できることが多く、費用対効果の高い処置といえます。
この方法が使えるのは、内部の貫板が健全な場合に限られます。腐っていればビスも効きません。
棟板金の交換|1mあたり5,000〜10,000円
根本的な対処です。古い板金と貫板を撤去し、新しい貫板を設置してから板金をかぶせ直します。
単価は1メートルあたり5,000円から10,000円程度。一般的な戸建てで棟の総延長は10メートルから20メートル程度なので、総額は5万円から15万円が目安になります。
工事そのものは半日から1日で終わります。屋根の中では比較的簡単な部類の作業です。
撤去してみて初めて貫板の腐食具合が分かるため、事前に「腐っていた場合の追加費用はどうなるか」を確認しておくと安心です。工事内容と価格帯は料金とプランのページで確認できます。
足場が必要な場合は20万〜40万円
ここが費用を左右する最大の要素です。足場代は1回組むごとに15万円から25万円かかり、工事の規模とは関係なく発生します。
つまり、板金交換そのものが10万円で済んでも、足場を単独で組めば総額は30万円前後になります。費用の半分以上が足場代という構図です。
勾配が緩やかで低い屋根であれば、足場なしで施工できることもあります。ただし、安全を確保できない状況で無理に作業させるべきではありません。
だからこそ、屋根塗装や外壁塗装と同時に行うのが合理的です。足場を共用すれば、追加費用は板金交換の実費だけで済みます。
屋根塗装と同時に行うのが最も無駄がない
実務的な観点からの結論です。屋根塗装の周期は7年から10年、棟板金の不具合が出始めるのも同じ時期にあたります。
塗装工事では必ず足場を組むため、そのタイミングで棟板金の状態を確認し、必要なら交換するという流れが最も無駄がありません。塗装の前に交換する場合もあれば、途中で行う場合もあります。
外壁塗装と屋根塗装を同時に行うなら、なおさら効率的です。塗り替えの検討時に、棟板金についても見てもらうよう伝えておいてください。屋根塗装については屋根塗装に関する記事一覧にまとめています。
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交換時に決めたい「貫板」の選び方
交換工事で最も重要な判断がこれです。板金の下にある貫板を、木製にするか樹脂製にするか。ここで次の20年が変わります。
ここでは、それぞれの特徴と選び方を説明します。
従来の木製貫板|安いが腐る
長く使われてきた素材です。杉などの木材を使い、加工しやすく安価という利点があります。
しかし、これまで説明してきたとおり、釘穴から入った水で腐るという弱点があります。板金に覆われているため乾きにくく、一度濡れると湿った状態が続きます。
腐食までの年数は、条件にもよりますが10年から15年程度。せっかく交換しても、また同じ経過をたどることになります。
樹脂製貫板|腐らないため再発しにくい
近年主流になりつつある選択肢です。プラスチック系の樹脂で作られており、水を吸わないため腐りません。
木材のように痩せたり反ったりしないため、留め具の効きも長く保たれます。シロアリの被害も受けません。
費用は木製より1メートルあたり500円から800円程度高くなります。棟の総延長が15メートルなら、差額は1万円前後という計算です。
この差額で腐食のリスクをなくせると考えれば、費用対効果は非常に高い選択といえます。次に足場を組むのが10年後だと考えれば、なおさらです。
留め具はステンレスのビスを選ぶ
貫板とあわせて確認したいのが留め具です。従来の鉄釘ではなく、ステンレス製のビスを使うのが現在の標準になりつつあります。
ビスはねじ山があるため、熱伸縮でも抜けにくくなります。ステンレスであれば錆びないため、留め具側の劣化も防げます。
樹脂製の貫板とステンレスビスの組み合わせが、現時点で最も再発しにくい仕様です。見積書にこの記載があるかを確認してください。
見積書で確認したい4つの項目
内訳の粒度で業者の姿勢が分かります。「棟板金交換一式」とだけ書かれた見積書では、何が含まれているのか判断できません。
1つ目は棟の延長がメートル単位で記載されているか。2つ目は貫板の素材が木製か樹脂製か。3つ目は留め具が釘かビスか、材質は何か。4つ目は既存の撤去処分費と、足場代が含まれているか別途かです。
特に貫板の素材は、見積書に書かれていないことが多い項目です。書かれていなければ、必ず質問してください。木製と樹脂製では、次の交換までの年数が変わります。
実際の施工内容は施工事例のページ、業者を見極める視点は業者選びのポイントをまとめたページで確認できます。
棟板金が飛散したときの対応と火災保険
台風のあと、実際に飛ばされてしまった場合の話です。棟板金は、火災保険が使われることの最も多い部位のひとつになります。
ここでは、飛散直後の対応と保険の条件を説明します。
飛散を確認したらまず安全確保と記録
風が収まって安全になったら、まず状況を確認します。飛散した板金がどこにあるか、近隣の建物や車に当たっていないかを確認してください。
飛散した板金は鋭利で、素手で扱うと怪我をします。近隣に落ちている場合は、まず一報を入れたうえで、業者に回収を依頼するのが安全です。
そして、片付ける前に必ず写真を撮ってください。屋根の状態が分かる引きの写真、飛散した箇所に寄った写真、落ちている板金の写真の3種類です。
自分で屋根に登るのは避けてください。板金がなくなった屋根は下地がむき出しで滑りやすく、非常に危険な状態です。
応急処置と、そのあとの流れ
板金がなくなった部分からは雨水が入ります。次の雨までに何らかの養生が必要ですが、これは業者に依頼する作業です。
室内側では、天井にシミが出ていないか、水滴が落ちていないかを確認してください。照明器具から水が滴っている場合は、該当する回路のブレーカーを落とします。
台風のあとは業者への依頼が集中し、対応まで数日から数週間かかることもあります。飛散を確認したら、できるだけ早く連絡を入れてください。
火災保険の風災補償が使える条件
費用負担を減らせる可能性があります。台風や強風で棟板金が飛ばされた場合は、火災保険の風災補償の対象になります。
ただし、経年劣化による飛散は対象外です。判断が難しいのは、劣化していた板金が強風でとどめを刺されたというケースで、これは保険会社の鑑定によります。
また、契約によっては損害額が20万円以上でないと支払われない仕組みになっていることがあります。棟板金の交換だけでは届かないこともありますが、同じ災害で屋根材や雨樋にも被害が出ていれば合算して申請できる場合があります。
被害の発生から3年を過ぎると請求権は時効になります。台風のあとに気になる箇所があれば、早めに点検を受けてください。
保険を前面に出す業者には注意する
台風のあとは、突然訪問してくる業者が増える時期でもあります。保険金が確実に下りると断言する、被害と関係ない工事まで保険で賄えると説明する、保険申請のサポート料を請求する。こうした説明が出てきたら契約は見送ってください。
点検と称して屋根材をわざと破損させる被害も報告されています。自分の目が届かない場所での作業になるため、訪問してきた業者を屋根に上げるのは避けるべきです。
点検は、自分で選んだ業者に依頼するのが原則です。判断に迷ったときは、消費者ホットライン「188」に相談できます。
棟板金を放置するとどうなるか
釘が浮いている程度なら急がなくてよい、と考えたくなります。しかし、棟板金の不具合は放置期間に比例して工事の規模が変わる部位です。
ここでは、放置した場合に起きることを段階を追って説明します。
段階1|釘穴からの浸水で貫板が腐る
最初に起こるのがこれです。釘が1本浮いただけでも、そこは雨水の入口になります。
入った水は木製の貫板に染み込みますが、板金に覆われているため乾きません。湿った状態が続けば腐朽菌が繁殖し、木材の強度が落ちていきます。
この段階なら、釘の打ち直しとコーキング処理で1万円から5万円程度。最も安く済むタイミングです。
段階2|板金がめくれ、飛散する
貫板が腐れば、留め具はまったく効かなくなります。この状態で強風を受ければ、板金は一気にめくれ上がります。
飛ばされた板金は鋭利な金属板です。近隣の建物や車を傷つけ、人に当たれば大けがにつながります。自宅の修理費用だけでは済まない事態になりかねません。
この段階では、板金と貫板をまとめて交換することになります。緊急対応が必要なぶん、日程の融通も利きにくくなります。
段階3|下地から雨水が入り、野地板が傷む
板金がなくなれば、屋根の頂点はむき出しです。そこから入った雨水は、防水シートを通り抜けて野地板に達します。
合板の野地板は水を含むと層が剥がれ、強度を失います。さらに進めば、垂木や小屋組といった構造材まで濡れます。
この段階になると、棟板金の交換だけでは終わりません。下地の補修が加わり、費用は数十万円規模になります。
段階4|天井にシミが出て、内装補修も必要になる
室内に症状が出るのは最後です。天井のシミが見えた時点で、屋根裏では相当な期間、水が入り続けています。
構造材が腐っていればその補修が、カビが発生していれば除去処理が、そして天井クロスや天井材の張り替えが加わります。
最初に1万円で済んだはずの処置が、数十万円から百万円規模になるという構図です。棟板金は、早期対応の効果が最も分かりやすい部位といえます。
飛散すれば近隣への賠償が問題になることもある
自宅の被害だけでは終わらない可能性があります。飛ばされた板金が隣家の窓を割った、駐車中の車を傷つけたという場合、賠償の問題が生じます。
自然災害による飛散であれば、原則として所有者に過失はないと判断されることが一般的です。ただし、明らかに劣化を放置していた場合は、管理責任を問われる可能性も否定できません。
個人賠償責任保険に加入していれば対応できることもあります。いずれにせよ、点検で指摘された不具合を放置しないことが、こうした事態を避ける最も確実な方法です。
棟板金交換の工事の流れと工期
実際に依頼した場合、どのように進むのかを知っておくと不安が減ります。工事そのものは半日から1日で終わる、屋根工事のなかでは短い部類の作業です。
ここでは工程を順に説明します。
既存の棟板金と貫板を撤去する
最初の工程です。古い板金を外し、その下の貫板も取り除きます。
ここで初めて、貫板の腐食具合が確認できます。全体が腐っているのか、釘穴のまわりだけなのか、下の屋根材まで傷んでいないか。この時点で写真を撮ってもらうと、後の説明が分かりやすくなります。
撤去した部材は産業廃棄物として処分されます。この費用が見積書に含まれているかを確認してください。
下地の清掃と補修を行う
撤去後に必要な工程です。屋根材の合わせ目に溜まったゴミを取り除き、屋根材が割れていればコーキングで補修します。
長年板金に覆われていた部分には、埃や落ち葉が溜まっていることがあります。これを残したまま新しい貫板を置くと、湿気がこもる原因になります。
地味な工程ですが、ここを丁寧にやるかどうかで持ちが変わります。省かれやすい部分でもあるため、工程写真を残してもらうとよいでしょう。
新しい貫板を設置し、板金をかぶせる
仕上げの工程です。新しい貫板を屋根材の合わせ目に固定し、その上から棟板金をかぶせてビスで留めます。
板金は2メートル程度の長さで、重ねながら連続して取り付けます。この重なり部分と、ビス穴にはコーキングを施して、雨水の侵入を防ぎます。
工期は棟の長さにもよりますが、1人作業で半日から1日程度。足場がある場合は、その設置と解体にそれぞれ半日から1日が加わります。
完了確認は、足場を解体する前に写真で行ってください。屋根の頂点は地上からは見えにくく、解体後では手直しに再度足場が必要になります。カバー工法や葺き替えを検討する場合はカバー工事に関する記事一覧も参考になります。
| [無料相談受付中]台風のあとの緊急点検も承ります 棟板金が飛散している場合は、次の雨までの養生が必要です。365日24時間受付、即日お伺いできる場合もございます。 お問い合わせはこちらから/お電話は 0120-55-6406(365日24時間受付・土日祝も対応) |
棟板金の交換はDIYできるのか
費用を抑えたいという理由で、自分で直せないかと考える方もいます。結論としては、避けてください。
ここでは、その理由を3つの観点から説明します。
作業場所が屋根の最頂部である
最も大きな理由がこれです。棟板金があるのは屋根の一番高い場所。そこまで登り、勾配のある屋根の上で作業することになります。
2階の屋根であれば地上から5メートル以上。この高さからの転落は、骨折で済めば軽いほうで、そのまま介護が必要な状態になることもあります。
スレート屋根では、踏む位置を誤ると屋根材そのものを割ってしまいます。良かれと思って上がった結果、被害を自分で作ってしまうことにもなりかねません。
内部の状態は開けてみないと分からない
技術的な理由もあります。表面から釘を打ち直しても、内部の貫板が腐っていれば意味がありません。
貫板の状態は、板金を撤去して初めて確認できます。腐食の程度を見て、部分交換で足りるのか全体交換が必要なのかを判断する必要があります。
釘穴のコーキング処理も、位置と量を誤ると逆効果です。水の逃げ道を塞いでしまい、内部に水が滞留することがあります。
保証と保険の面でも不利になる
見落とされやすい点です。自分で手を加えた箇所は、その後に業者へ依頼しても保証の対象外とされることがあります。
火災保険の申請でも、素人施工の跡があると被害状況の判断が難しくなります。もともとの損害なのか、DIYによるものなのかが区別できなくなるためです。
地上から状態を撮影し、業者に相談するところまでが施主の役割と考えてください。工事後の保証については保証制度についてのページにまとめています。
まとめ|貫板を樹脂製にするかどうかで、次の20年が変わる
棟板金は、屋根の頂点をふさいで雨水の侵入を防ぐ部材です。金属の熱伸縮によって固定している釘が少しずつ抜けるという、避けられない性質を持っています。
釘が浮けば釘穴から水が入り、内部の木製貫板が腐ります。すると釘がさらに効かなくなり、強風でめくれ上がります。気象庁の目安では、平均風速15m/s以上で屋根ふき材がはがれるものがあるとされています。
交換費用は1メートルあたり5,000円から10,000円、総額で5万円から15万円。足場が必要な場合は20万円から40万円になるため、屋根塗装や外壁塗装と同時に行うのが最も合理的です。
そして最も重要な判断が、貫板の素材です。木製より1メートルあたり500円から800円高くなりますが、樹脂製にすれば腐食しません。留め具もステンレスのビスを選べば、再発リスクは大きく下がります。
見積書には、棟の延長、貫板の素材、留め具の種類、足場の扱いが記載されているか確認してください。まずは地上から屋根の頂点を撮影して、板金の端が浮いていないか確かめるところから始めてみてください。
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