アパート経営を続けていくうえで、避けて通れないのがリフォームや修繕にかかる費用です。
建物は新築時がゴールではなく、時間の経過とともに外壁・屋根・防水・共用部・室内設備などが少しずつ劣化していきます。適切なタイミングでメンテナンスを行わなければ、見た目の印象が悪くなるだけでなく、空室増加や家賃下落、さらには大きな修繕費の発生につながることもあります。
特に近年は、入居者が物件を比較する際に「築年数」だけでなく、外観の清潔感・共用部の管理状態・設備の使いやすさまで細かく見ています。
そのため、築年数が経っているアパートでも、必要な箇所に適切なリフォームを行えば、十分に競争力を維持することが可能です。
一方で、多くのオーナー様が悩むのが次のような点ではないでしょうか。
- アパートリフォームの費用はどれくらいかかるのか
- 外壁塗装、屋根、防水、内装などで相場はどう違うのか
- 空室対策として優先すべき工事はどれか
- まとめて工事した方が得なのか
- 賃貸経営で無駄なリフォームを避けるにはどうすればいいのか
この記事では、アパート リフォーム 費用や賃貸 リフォーム 相場が気になるオーナー様に向けて、工事別の費用目安をわかりやすく解説します。
あわせて、費用を抑えるポイントや、空室対策として効果的な考え方も整理してお伝えします。
「そろそろ修繕が必要かもしれない」「見積もりを取る前に相場感を知りたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
アパートリフォーム費用はなぜ差が出るのか

まず知っておきたいのは、アパートのリフォーム費用は一律ではないということです。
同じ「外壁塗装」でも、建物の規模や劣化状況、使用する材料、足場の必要性によって金額は大きく変わります。
費用が変動する主な要因は、次のとおりです。
建物の規模
2階建て6戸のアパートと、3階建て12戸のアパートでは、施工面積も足場の量も違います。
当然ながら、建物が大きいほど工事費用は高くなります。
劣化の進行具合
表面的な汚れや色あせ程度であれば、比較的シンプルな施工で済むことがあります。
しかし、ひび割れ・雨漏り・下地の傷みなどが進んでいる場合は、補修工程が増えるため費用も上がります。
使用する材料や工法
塗料のグレード、防水材の種類、屋根工事の方法などによって、耐久性も費用も変わります。
初期費用が安い方法が、長期的に見て得とは限らない点に注意が必要です。
同時施工の有無
外壁塗装・屋根工事・防水工事などは、足場を使う工事です。
別々に行うとそのたびに足場代がかかるため、まとめて施工した方がトータル費用を抑えやすくなります。
このように、アパートリフォームの費用は「工事名」だけで判断するのではなく、建物の状態と経営目的に合わせて考えることが大切です。
外壁塗装の費用相場
アパートリフォームの中でも、特に相談が多いのが外壁塗装です。
外壁は建物の印象を大きく左右するだけでなく、雨風や紫外線から建物を守る重要な部分でもあります。
外壁塗装の目的は、単に見た目をきれいにすることだけではありません。
塗膜によって外壁材を保護し、防水性や耐久性を維持する役割があります。塗装の劣化を放置すると、ひび割れや雨水の侵入につながり、下地の傷みや構造部分のトラブルを引き起こすこともあります。
外壁塗装の費用目安
一般的な費用相場は次のようになります。
| 建物規模 | 費用目安 |
|---|---|
| 6〜8戸アパート | 200万〜400万円 |
| 10〜12戸アパート | 300万〜600万円 |
| 15戸以上 | 500万〜800万円 |
この費用には、塗装工事だけでなく、足場設置、高圧洗浄、養生、下地補修、付帯部塗装などが含まれることが多いです。
ただし、見積もり内容は業者によって異なるため、何が含まれているかを細かく確認することが重要です。
塗料による費用と耐久性の違い
外壁塗装では、どの塗料を使うかで費用も今後のメンテナンス周期も変わります。
| 塗料 | 耐用年数の目安 |
|---|---|
| ウレタン塗料 | 8〜10年 |
| シリコン塗料 | 10〜13年 |
| フッ素塗料 | 15〜20年 |
初期費用だけを見れば安い塗料の方が魅力的に感じますが、賃貸アパートでは長期的なメンテナンスコストも考慮すべきです。
たとえば、10年以内に再塗装が必要になる塗料と、15年以上耐久性が見込める塗料では、長い目で見た総コストに差が出ることがあります。
外壁塗装が空室対策につながる理由
アパートの外壁は、いわば建物の「顔」です。
入居希望者は、室内を見る前に外観を見て「この物件は管理されているかどうか」を判断します。
- 外壁が色あせている
- コケや汚れが目立つ
- ひび割れが見える
- 鉄部がサビている
こうした状態では、室内がきれいでも印象が悪くなりやすいです。
逆に、外壁がきれいな物件は築年数が経っていても印象が良く、内見率や成約率の改善につながるケースがあります。
屋根リフォームの費用相場

屋根は普段あまり見えない部分ですが、建物を守るうえで非常に重要な箇所です。
雨や紫外線を最も直接受けるため、劣化が進みやすく、放置すると雨漏りや下地腐食につながる恐れがあります。
特に賃貸物件では、屋根トラブルが発生すると入居者対応やクレーム対応、退去リスクにもつながるため、早めの対策が大切です。
屋根工事の主な種類
屋根リフォームには、主に次の3つがあります。
- 屋根塗装
- 屋根カバー工法
- 屋根葺き替え
屋根リフォームの費用目安
| 工事内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 屋根塗装 | 50万〜200万円 |
| 屋根カバー工法 | 150万〜400万円 |
| 屋根葺き替え | 300万〜800万円 |
屋根塗装
屋根材自体の傷みが大きくない場合は、塗装によるメンテナンスで対応できることがあります。
比較的費用を抑えやすい方法ですが、下地が傷んでいる場合には塗装だけでは根本解決になりません。
カバー工法
既存屋根の上から新しい屋根材をかぶせる工法です。
葺き替えより廃材が少なく、工期や費用を抑えやすいのが特徴です。スレート屋根や金属屋根の改修で選ばれることがあります。
葺き替え
既存の屋根材を撤去して新しい屋根に交換する方法です。
費用は高くなりますが、下地からしっかり補修できるため、劣化が大きい場合には安心感があります。
屋根工事は「見えないからこそ要注意」
屋根は地上から状態を確認しにくいため、劣化の発見が遅れやすい場所です。
「見た目は問題なさそう」と思っていても、実際には塗膜の劣化や板金の浮き、防水性の低下が進んでいることもあります。
そのため、定期的に専門業者へ点検を依頼し、必要ならドローン点検なども活用しながら状態を把握することが重要です。
防水工事の費用相場

アパートの屋上、開放廊下、バルコニー、階段の踊り場などには、防水施工が必要な箇所があります。
防水層は建物内部へ水が侵入するのを防ぐ役割を持っており、見落とされやすい一方で非常に重要な工事です。
防水性能が落ちると、雨漏りや下地腐食だけでなく、共用部の傷みや美観の低下にもつながります。
入居者からすれば「雨の日に共用廊下が滑りやすい」「ベランダの床が傷んでいる」といった不満にもなりやすく、物件の満足度に直結する部分でもあります。
防水工事の費用目安
| 防水工法 | 費用相場 |
|---|---|
| ウレタン防水 | 50万〜150万円 |
| シート防水 | 80万〜200万円 |
| FRP防水 | 60万〜150万円 |
ウレタン防水
液状の防水材を塗って仕上げる工法で、複雑な形状にも対応しやすいのが特徴です。
比較的採用されやすく、改修工事でも使いやすい防水方法です。
シート防水
塩ビシートやゴムシートなどを貼る工法です。
広い面積に向いており、施工条件によっては安定した品質が期待できます。
FRP防水
強度が高く、ベランダなどで採用されることが多い工法です。
ただし、施工場所や既存状態により向き不向きがあります。
防水工事を後回しにするリスク
防水は見た目で判断しにくいため、問題が起きるまで放置されがちです。
しかし、いざ雨漏りが起きると、表面的な補修では済まず、内装や躯体まで修繕が必要になるケースがあります。
つまり、防水工事は「今すぐ入居率が上がる工事」ではないかもしれませんが、将来の大きな損失を防ぐための工事として非常に重要です。
内装リフォームの費用相場

空室対策や家賃維持に直結しやすいのが室内の内装リフォームです。
外観や共用部がきれいでも、室内に古さや使いにくさを感じると、内見時に成約へつながりにくくなります。
特に築年数が経っているアパートでは、ちょっとした内装の工夫で印象が大きく変わります。
内装リフォームの費用目安
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| クロス張替え | 5万〜15万円 |
| 床張替え | 10万〜25万円 |
| キッチン交換 | 30万〜80万円 |
| ユニットバス交換 | 60万〜120万円 |
| 洗面台交換 | 10万〜25万円 |
| トイレ交換 | 10万〜30万円 |
部屋全体の簡易的なリフォームであれば、1室あたり20万〜50万円程度で済むこともあります。
ただし、水回り設備を大きく刷新する場合は、さらに費用がかかるケースもあります。
内装で重視されるポイント
賃貸物件の内装リフォームでは、豪華さよりも「清潔感」「使いやすさ」「今どき感」が大切です。
たとえば、
- 古い壁紙を明るい色に張り替える
- 床をきれいな木目調にする
- 洗面台を新しくする
- 照明をLED化する
- モニター付きインターホンを設置する
こうした比較的取り入れやすい改善でも、部屋の印象は大きく変わります。
空室対策としての内装リフォーム
賃貸物件では、すべての部屋に高額なフルリノベーションを行う必要はありません。
大切なのは、エリアの家賃帯や入居ターゲットに合わせて、費用対効果の高い改修を行うことです。
たとえば、単身者向け物件であれば、
- ネット無料
- 宅配対応設備
- 清潔感のある水回り
- シンプルで明るい内装
などが重視されやすいです。
ファミリー向けなら、
- 収納力
- 使いやすいキッチン
- 洗面スペース
- 防音性や安心感
などが重要になります。
つまり、内装リフォームは単に古い部分を直すだけでなく、どんな入居者に選ばれたいかを意識して計画することが大切です。
共用部リフォームの費用相場
アパート経営で意外と見落とされやすいのが、共用部のリフォームです。
しかし、入居者や内見者が毎回目にするのは、専有部だけではありません。エントランス、廊下、階段、ポスト、照明、ゴミ置き場など、共用部の状態は物件全体の印象を大きく左右します。
共用部リフォームの費用目安
| 工事内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 階段・廊下塗装 | 30万〜100万円 |
| エントランス改修 | 50万〜200万円 |
| 宅配ボックス設置 | 20万〜80万円 |
| 防犯カメラ設置 | 10万〜50万円 |
| ポスト交換 | 10万〜30万円 |
| 照明交換 | 10万〜40万円 |
共用部が与える印象は想像以上に大きい
たとえば、次のような状態だと、物件の印象は大きく下がります。
- 廊下や階段が暗い
- 鉄部がサビている
- ポストが古く傷んでいる
- ゴミ置き場が雑然としている
- エントランスに清潔感がない
こうした状態は、「建物全体の管理が甘い」という印象につながります。
一方で、共用部がきれいに整っている物件は、築年数が経っていても安心感があります。
共用部の改善は費用対効果が高い
共用部リフォームは、1室ごとに行う内装工事と違い、建物全体の印象をまとめて改善できるのが大きなメリットです。
比較的少ない費用でも、見た目や使い勝手を改善しやすく、空室対策としても有効です。
特に最近は、宅配ボックスや防犯カメラのニーズが高まっています。
物件の差別化ポイントとして導入を検討する価値は十分あります。
アパートリフォーム費用を抑えるポイント

アパートリフォームは高額になりやすいからこそ、無駄なく計画することが大切です。
ここでは、費用を抑えながら効果的に工事を進めるポイントを紹介します。
足場が必要な工事はまとめて行う
外壁塗装・屋根塗装・防水工事など、足場を使う工事は同時に行うと効率的です。
別々に工事すると、そのたびに足場費用がかかるため、トータルコストが上がりやすくなります。
劣化が軽いうちに対応する
小さなひび割れや塗膜の劣化の段階で対応すれば、補修範囲を最小限に抑えられます。
放置して雨漏りや下地腐食まで進むと、一気に高額修繕になりやすいです。
相見積もりで内容を比較する
工事費用は業者ごとに差があります。
ただし、単純に総額だけを見るのではなく、工事範囲、使用材料、保証内容まで含めて比較することが重要です。
優先順位を決める
すべてを一度に直そうとすると、予算が大きく膨らみます。
まずは「雨漏りリスクがある箇所」「見た目に直結する箇所」「空室対策に効く箇所」など、優先順位をつけて進めることが大切です。
アパートリフォームで失敗しない考え方
アパートのリフォームでは、安さだけで判断すると失敗しやすいです。
なぜなら、賃貸物件のリフォームは「工事をすること」が目的ではなく、収益性を守ることが目的だからです。
たとえば、
- 安い塗料を使って短期間で再工事が必要になる
- ターゲットに合わない豪華設備を入れて費用回収できない
- 見えない部分の補修を省いて後から不具合が出る
このようなケースでは、結果的に損をする可能性があります。
大切なのは、
今の建物状態
周辺賃貸市場
今後の経営方針
を踏まえて、必要な工事を適切に選ぶことです。
まとめ

アパートリフォームの費用は、工事内容によって大きく異なります。
主な相場を整理すると、次のようになります。
- 外壁塗装:200万〜600万円
- 屋根リフォーム:50万〜800万円
- 防水工事:50万〜200万円
- 内装リフォーム:1室あたり20万〜50万円前後
- 共用部リフォーム:30万〜200万円
アパート経営では、建物の劣化を放置するほど修繕費用が膨らみやすくなります。
その一方で、必要なタイミングで適切なリフォームを行えば、
- 空室対策
- 家賃維持
- 建物寿命の延長
- 資産価値の維持
といった大きなメリットが期待できます。
特に賃貸物件は、外観や共用部の印象、室内の使いやすさが入居率に直結します。
だからこそ、単なる修繕としてではなく、経営改善のための投資としてリフォームを考えることが重要です。
「何から手を付けるべきかわからない」「見積もりが適正か判断できない」という場合は、まず建物全体の状態を確認し、工事の優先順位を整理するところから始めるのがおすすめです。
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